TOSSランド>理科・科学>高校>化学・物質>物質の構造>化学反応式と量的関係
説明すればするほど分からなくなる典型的な単元です。模擬授業を受けた大人が「なるほど」と思わず反応していました。高校生にもスーッと伝わっていきます。
佐々木基説明1. 水という物質は、水素原子二つと酸素原子一つからできることがわかっています。
これをH2O(分子式とイラスト図(→図1))と表します。
と言って、図を貼って見せる。(以下、順に図を貼って見せる。)
説明2. 本物の水分子は小さくて目に見ることができません。(→小さな点を書いた図2を示す)
分子が集まると、様子が変わります。
H2O(小さな点)が100個集まりました。(→図3)拡大します。確かにH2O分子が100個集まっています。(→図4)
H2O(小さな点)が更に集まります。10,000個です。(→図5)同じ倍率で拡大すると、黒板からはみ出してしまいます。
分子の数が多くなると、便利なことがあります。分子の粒粒を書かなくても、升を書いて、分子の数が表現できるのです。
分子の数がさらに多くなって、ある数になったときもっと便利なことに気づきました。分子量と質量が同じ数字になったのです。(→図6)
この数のまとまりのことを1モルといいます。(→図7)何個かというと、6×10^23個です。
指示2. ノートに書きます。
板書する。
6×10^23 → アボガドロ数 |
<利点>粒子が6×10^23個ある時、その粒子の質量は、原子量[g]、分子量[g]になる |
留意点
生徒は拍子抜けするほど素直に話を聞いている。もし手応えが感じられないならば、次のような対応で念を押す。
【対応1】@お握りをむすぶ動作を見せる。A「数がたくさん集まりました」B「このまとまりを1モルといいます」
→頷く生徒は多い。
【対応2】@1円玉がたくさん集まりました。Aひとかたまり、1万枚。Bこのひとかたまりを1万円札1枚にまとめます。
→1円玉=分子。1万円札=1モルのアナロジー。実際に生徒に説明したことはない。
説明3. この文は意味がわかりにくい。練習問題をやってみます。
指示3. 写しなさい。
元素記号 | 原子量 | 粒子の個数 | 質量 |
H | 1 | 6×10^23個 | 1g |
書き終わった頃、「水素原子が6×10^23個ある時、その質量は、1[g]になる」と、数値を指さしながら説明する。
次のようにC(炭素)の行を書き加える。
元素記号 | 原子量 | 粒子の個数 | 質量 |
H | 1 | 6×10^23個 | 1g |
C | 12 | 6×10^23個 |
発問3. 質量は何gですか。黙って書きなさい。
答えは12gである。
T:「出来た人?」挙手をさせる。
T:「みんなで、さん、はい」S:「12g」
T:「よし、合っていたら赤丸」
指示4. (H2O、NaCl を書き加える)質量を求めなさい。出来たら手をあげなさい。
「分子量・式量の求め方は昨日やりました」
挙手した生徒の名前を呼んで、答えを確認する。
H2O=18、NaCl=58.5、である。
指示5. 写しなさい。
元素記号 | 原子量 | 粒子の個数 | 質量 |
H | 1 | 6×10^23個 | 1g |
C | 12 | 6×10^23個 | 12g |
H2O | 18 | 6×10^23個 | 18g |
NaCl | 58.5 | 6×10^23個 | 58.5g |
↓
1mol |
発問4. 1molは何個ですか。
6×10^23個のことをなんと言いますか。
1molは6×10^23個である。
6×10^23個は1molである。アボガドロ数と答えてもよい。
以前は、1ダースなどを使って説明していた。生徒は常に混乱していた。この説明では、混乱はまったく起こらない。拍子抜けするほどスッと受け取っている。