TOSSランド>理科・科学>高校>化学・物質>溶液の性質>溶液の濃度
濃度の公式を覚えさせるのに、面積図を使う実践である。数式・計算の苦手な生徒でも立式までは必ずできるようになる。今回の指導で、計算を苦手とする生徒の中にも濃度小テストで満点を取る生徒が出た。苦手意識から計算に取り組もうとしない生徒に対する手だてが今後の課題である。
佐々木基高校生は次のことを中学校で学習している。
(2) 身の回りの物質
イ 水溶液
(ア) 物質が水に溶ける様子の観察や再結晶の実験を行い、水溶液の中では溶質が均一に分散していること及び水溶液から溶質を取り出す方法を見いだすこと。
砂糖を水にとかすと、砂糖水ができる。砂糖を水にとかした場合、砂糖のように、とけている物質を溶質といい、水のように、溶質をとかす液体を溶媒という。溶質が溶媒にとけた液全体を溶液という。溶媒が水の溶液を、水溶液という。
塩を水に溶かして、塩水を作ります。
発問1.塩のことを漢字二文字で何と言いますか。
指示1.ノートに書きなさい。
同様に、水、塩水について、尋ね、答えをノートに書かせる。
正解はそれぞれ、溶質、溶媒、溶液である。覚えていたら、大げさなくらいにほめる。
「すばらしい!良く覚えていた。」
忘れている様子だったら、さっと答えを教えてしまう。
「そうか、忘れちゃったか。溶質です。」
そして、復唱させる。
「溶質。はい」「溶質」
三つとも確認したら、念を押す。
発問2.溶質とは何ですか。
指示2.ノートに書きなさい。
「書けたら、『書けました』。」
今書いた言葉の隣りに書かせる。10名ほどが書けたら、列指名で3名ほど次々発表させる。
同様に、溶媒、溶液について尋ね、答えをノートに書かせる。
発問2.塩35gを水115gに入れて作った塩水Aと、塩15gを水45gに入れて作った塩水Bがあります。濃いのは塩水Aですか、塩水Bですか。
指示2.手を挙げてもらいます。塩水Aだと思う人。塩水B。
「答えはBです。
濃さを数値で表すとわかります。これを濃度と言います。今日は濃度の勉強をします
高校生が学習する濃度は二種類あります。<質量パーセント濃度>と<モル濃度>です。」
「まず、質量パーセント濃度から勉強します。」
指示3.ノートに書きなさい。一行全体に広く書いて下さい。
塩20gを水105gに溶かして、塩水を作った。
説明1.その下に図を書きます。
発問3.塩水は何gですか。
指示4.わかった人(挙手)
理科や数学の苦手な生徒も図があれば理解できる。元気のいい生徒を指名する
「125gです」
「よし!正解。できた人?」挙手をさせる。「○をつけなさい」
説明2.このビーカーの図を長方形で表します。面積図と言います。
「塩水全体は125g。塩は20g。」言いながら、面積図を完成させていく。
説明3.この面積図は濃度の公式を表しています。
溶液、分の、溶質、イコール、濃度。
「分の」と言っているとき、面積図の底辺を赤チョークでなぞる。
「イコール、濃度」と言っているとき、面積図の右に「= 濃度」を書き加える。
説明4.パーセントの記号は%と書きます。これは、100という数字を図案化しています。だから、質量パーセント濃度を計算するときは、この濃度に、100をかけます。
「やってみます」
「溶液125g」 分母に125 と書く。
「溶質20g」 分子に20 と書く。
「パーセント濃度だから」 ×100 と書く。
「計算します」 約分を一つずつやってみせて、 =16 と書く。
「答えは」 Ans.16% と書く。
指示5.一問、練習します。図も、式も、計算も、今先生がやったのとまったく同じにやります。できたらノートを持ってきます。図や計算が書いてなければ、やり直してもらいます。どうぞ。
<問 塩10gを水90gに溶かして、塩水を作った。質量パーセント濃度を求めなさい。>
図を書くのをめんどくさがる生徒がいる。毅然と「書きます」と指示する。指示通りやってきた生徒を思いきりほめる。
「指示通り。素直な人は良く伸びる」「図が丁寧でよし」「約分もきちんと書いてある」など
5人ほどが合格したら、速かった生徒を指名して板書させる。「黒板を参考にしてもいいんですよ」
指示6.練習問題をやってもらいます。
3問練習問題をやらせる。(1)塩15g、水110g(2)水100g、塩25g(3)塩15g、塩水200g
机間巡視をしながら、出来た生徒を指名して、解答を黒板に書かせる。書いたことを読ませる。「あっていたら、まる!間違えた人は直します。できなかった人は写しておきます」
モル濃度も同様の手順で教えていく。
下の文を板書して、指示する。
塩2molを水に溶かして塩水1Lを作った。
指示7.文を写して、文の下に、図を書きなさい。
作業状況を確認して、答え合わせをする。
「こうなった人?」挙手をさせる。「あっていたら、○。間違えた人は直しなさい。」
「モル濃度は%がないから、×100もありません。簡単だね。」
指示8.式、計算、答えを書きなさい。
「できたらノートを持ってきます」
早く持ってきた生徒に板書させる。
答え合わせをして、練習問題3問に取り組ませる。
出来た生徒を指名して、解答を黒板に書かせる。書いたことを読ませる。「あっていたら、まる!間違えた人は直します。できなかった人は写しておきます」
勤務校の生徒は計算を苦手にしている。個別対応の必要な生徒もいる。私は次のように対応している。
「次の時間は小テストを実施します。1問5点、8問40点のテストで30点以上合格。不合格の人は残留学習です。」計算を苦手とする生徒を確定し、個別指導するための苦肉の策である。