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ターン弧のイメージ作り(1)

対象

 プルークボーゲンで何とか自由に滑ることが出来る。転んでも1人ですぐ立てる。この段階以上にある初級・中級の生徒を対象に考える。人数は10人程度。

 理想のターン弧は縦の半円形の連続である。初級者の滑りは、急斜面で典型的に現れるが、斜滑降+キックターンの連続、つまり三角形の連続である。三角形シュプールを半円形シュプールに矯正するには、まず縦半分の半円形シュプールを斜滑降+直滑降+山まわりに分割するして考える。指導の手順は次の3段階で考える。
山まわりの練習
山まわり→直滑降→山まわりの練習
山まわり→斜滑降→直滑降→山まわりの練習
1.については「スピードコントロール」のページで述べたとおり。本稿は2.について述べる。3.については「ターン弧のイメージ作り(2)」で述べる。
 
技術の要点
山まわり→直滑降

 スピードコントロールの練習に引き続いて行う。
 10人程度の生徒が1列に並んでいる。その前の雪面をスキーでならし、ストックで図(資料5)を書いて説明する。

趣旨説明1

 今、山まわりで止まる練習をしました。今度は山まわりで止まる直前に直滑降に移ります。直滑降からまた山まわりをして止まります。

指示1

 ハの字でスタートします。前の人が止まったら次の人スタートして下さい。

模範演技

 1ターンだけやってみせる。

生徒試技

 次々に生徒が試技をしてくる。それぞれに評価語を一言だけ告げる。余計なことは言わない。全員終わったら「では、逆のターンもやってみましょう。」と言い、練習に移る。

留意点1

 止まる寸前まで山まわりをしないために減速が不十分なまま直滑降に移る生徒がいる。この時は次のように対処する。もう一度下記のように趣旨を説明し、追加の指示を与える。カッコ内の言葉を言うかどうかはグループを構成するメンバーに依存する。積極的な生徒が多ければ言わない。慎重な生徒が多ければ言う。

再説明

 止まりそうになるまで片足荷重で山まわりをしてから直滑降に移ります。これが出来ると、急斜面でも(安全に)滑ることが出来ます。

追加指示

 止まってしまってもいいです。止まってしまったらストックでこいで進んで下さい。では、もう一度やってみましょう。

指示2

 今度は同じことを連続ターンでやってみましょう。先頭の人は先生が止まったらスタートして下さい。次の人からは先生が合図をしたらスタートして下さい。

模範演技

 ゲレンデに合わせて適当なターン数を滑る。

生徒試技

 教師の合図に従って次々に生徒が試技をしてくる。衝突の危険と待たせ過ぎに配慮しながらテンポよくスタートの合図を送る。試技の終わった生徒に評価語を一言だけ告げる。

留意点2

 止まる寸前まで山まわりをしないために減速が不十分なまま直滑降に移る生徒の滑りは簡単には直らない。直そうとして直るものではない。そうした生徒はだんだんスピードが出て来る。スピードに対する恐怖感に困惑している様子が感じられた時を見計らって、全員の前で次のように問う。

確認

 直滑降の時、スピードが出ますね。ちょっと怖いね。でも、山まわりをきちんとすれば、自然と止まれるんだったね。

発問1

 はい、問題です。スピードが出過ぎて困ったとき、どうしたらいいですか。
生徒が「山まわりをきちんとすればよい。」と答えられればよい。そうでないときは教師が答えを言って確認する。続いて次のように指示する。

補助指示

 山まわりの時、いーち、にー、さーん、しー、とゆっくり数えながらやってごらん。

 全員の前で雪面をスキーでならし、ストックで図(資料6)を書いて次の課題を指示する。

指示3

 今度はスキーが真横を向いたら直滑降に移ってみましょう。先頭の人は先生が止まったらスタートして下さい。次の人からは前の人が2ターンしたらスタートして下さい。

模範演技

 ゲレンデに合わせて適当なターン数を滑る。

生徒試技

 次々に生徒が試技をしてくる。それぞれに評価語を一言だけ告げる。

留意点3

ここでも、山まわりが不完全でスキーが真横を向く前に直滑降に移る生徒が出る。欠点が目についても無理に矯正しようとしない。見方を変えれば、スピードの出る滑り方でも滑れると言うことである。言われた通りにしか滑れない慎重な生徒にはない長所である。機会を見つけて「急斜面で困らないようにきちんと練習しておこう。」などと話しておく程度でよい。あるいは、急斜面での練習を取り入れ、「かっこよく滑るにはきちんと山まわりをしよう。」と話す。

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