黄金の一日目の手応えを実感できた。
広い体育館。大勢の見知らぬ人。大きな声を出すという緊張と恥ずかしさ。肩のわずかなふるえから戸惑う心の中が伝わってくる。
一瞬僕の心に入り込んでくる不安。すぐに思い浮かぶ入場前の晴れやかで自信に満ちた笑顔。静寂を破り呼名する。
「特別コース、1組、加藤麻衣。」
「はい。」
見事な返事だ。凛とした透き通るような声。体育館の隅々まで届いたと思われるような声。返事の流れは定まった。
「後藤由美子。」
「はい。」
途中、声が小さくて聞こえない生徒が2名いた。しかし、全体としてまったく問題にならないと思った。
式終了後教室に戻り、僕は思いきり褒めた。