向山洋一氏の卒業式・呼びかけの指導を参考にした実践である。語りかける私に生徒の目が注目した。黄金の一日目の手応えを実感できた。
入学式の流れを説明する。
「入学式で名前を呼びます。返事をして、起立をします。」そして、問う。
列指名で聞いた。「わかりません」という答えが続く。
「加藤麻衣さん、さっき何か言いかけましたね。もう一度言ってもらえますか。」
「親かな。」
説明
そうですね。先生もそう思います。自分がここにいるということ、これからの高校 生活を頑張るということを返事で表すのです。それを親御さんに聞いてもらうのです。→修正意見2
「では練習します。 加藤麻衣さん。」
「はい。」……。
「加藤さんどうしましたか。」
「えっ」
「さっき先生は何と言いましたか。」
「わかりません。」
「一度で聞きなさい。さっき先生が何と言ったか言える人。はい、藤田君。」
「返事をして。それから、立つ。」
「その通り。よく聞いていました。立派です。ではもう一度。」
「加藤麻衣さん。」「はい。」(起立)、……。
蚊の鳴くような小さな返事しかできない。予想通りである。そのまま最後まで続け、次のように話す。
説明
今の返事では親御さんには聞こえませんね。体育館は大きいです。バレーボールのコートが3つの広さです。皆さんはステージの前に座ります。親御さんはその後に座ります。後の親御さんに声を届かせるには、前の壁に声をぶつけて、反射した声を届かさなければなりません。
話を聞きながらうなずく生徒が何人もいた。中央に座る佐々木裕大君の聞く姿勢が際だってすばらしい。
「それではもう一度練習します。本番は呼び捨てですので、今度は呼び捨てでやります。」
「加藤麻衣。」「はい。」そしてすっと起立する。……。
鈴木裕一君の返事は元気があり、発音も明瞭だった。呼名の途中であったが僕は思わず言った。「いい返事だ。」
藤田健一君の返事もいい。張りのあるバリトンだ。再び僕は思わず感想を言った。「いい声だ。」
「今度は皆さん、とても立派でした。本番でも今のように立派にお願いします。」