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小回りが2時間で出来る指導

佐々木基
TOSSスキー指導研究会
開設2003/1/26、更新2003/8/14

プルークボーゲンにはかなりの程度慣れている生徒が対象である。コの字に滑るイメージを持たせることで、誰でもナンチャッテ小回りが出来る。地域公開講座に参加した大人3名、中学2年2名、小学3年1名合計6名を対象に実践した報告である。

1.直滑降から山周りで停止する。

導入は緩斜面で行う。プルークスタンスか、パラレルスタンスか、はあまり問題ではない。練習を重ねていくうちにほぼパラレルスタンスになる。

説明1.小回りといってもいくつかの滑り方があります。直滑降のラインを2本イメージします。この2本のラインを横につないで滑るんですね。(雪上にストックで図を書いて説明する。)
説明2.では練習します。直滑降からスタートし、今までと同じように外足荷重の山周り(プルークボーゲンを2時間でパラレルターンにする指導)をしてすぐ停止します。
指示1.真似をしてやってみましょう。(1ターンだけ行う。)

緩斜面であるから、直滑降も落ち着いて出来るはずである。直滑降の姿勢をきちんと作らせてからスタートさせる。

山周りの大きさは気にしない。大きくなってもよい。外足荷重がきちんと出来ていればよい。慣れてくれば適切な大きさに調節することが出来る。

説明3.同じことを2回連続してやってみます。スキーが横向きになっているとき、一気に「えいっ!」と立ち上がって直滑降になります。そしてすぐ山周りをして、停止します。
指示2.真似をしてやってみましょう。(立ち上がるとき、「えいっ!」と言いながら2ターンだけ行う。)

余計なことを言わず、何度も繰り返す。直滑降、真横、直滑降、真横と滑ることに慣れさせる。

2ターン、4ターン、6ターン、10ターン以上、とだんだん滑走距離を長くする。トレーンで長い距離を滑ってもよい。

少し慣れたなと思われる頃、斜度によって、山周りの深さを調節することを説明する。

説明4.急斜面では、スキーを完全に横に向けます。どんどんスピードが出てしまいますからね。緩斜面ではスキーを完全に横に向けると、スキーは止まってしまいますから、少し斜めにします。とても緩い緩斜面では、スキーはほんの少し斜めになればいいのです。

 急斜面や中斜面に行って、同じように練習してみる。

2.へその向きはいつも真下

発問1.小回りと大回りの違いがなんだかわかりますか。

わからない場合がほとんどであるから、すぐに説明する。

説明5.小回りはおへそがいつも真下を向いています(その場で演示をする。)。大回りはおへそが滑走方向(スキーと同じ向き)を向きます。
指示3.おへそを常に下に向けて滑ってみましょう。

体がスキーと一緒に回転してしまう場合がとても多い。

生徒が必死な様子で、顔だけでも谷を向かせたい場合は、「先生の方を見て!」と声をかける。

もう少し余裕があると感じられる場合には、「おへそをこちらに向けて!」と声をかける。

言葉で指導するより、次のようなバリエーションを取り入れてたくさん滑らせる。

練習のバリエーション

1.ストックを両手で水平に持つ

  1. ストックをはずして2本束ねる。
  2. 束ねた2本のストックの両端を両手で水平に持つ。
  3. ストックがゴールラインと常に平行になるよう体の向きを意識させる。

2.ストックを両手で垂直に持つ

  1. ストックをはずして2本束ねる。
  2. 束ねた2本のストックの中央を両手で垂直に持つ。
  3. 両腕が常にゴール方向に向くよう体の向きを意識させる。

3.ノーストックで両手を水平に広げる

  1. ストックをはずして、グループで一カ所にまとめておく。
  2. 両手を水平に広げて構える。(ひげダンスのように)
  3. おへそが常にゴールを向くよう体の向きを意識させる。

3.リズムは上下動で作る

説明5.小回りは「シュッ、シュッ」とリズミカルに楽しい感じで滑ります。リズムは上下動で作ります。立ち上がって直滑降になったときは、膝もピンと伸ばします。スキーが横を向いたときは、膝を曲げて小さくなります。
指示4.ではやってみましょう。

股関節はあまり曲げない。その場で演示をしてみせる。その場で、膝を中心とした上下動を練習させる。その上で滑らせる。

ひざの全く曲がらない場合、股関節が深く曲がりすぎる場合がでてくる。欠点を直そうとしない。リズム感のあることが大切なので、動作そのものは小さくても気にしない。

説明6.立ったときに「1」、しゃがんだときに「2」と言いながら、一定のリズムで滑ります。
指示5.ではやってみましょう。

小回りという滑りにとらわれ、無理矢理スキーを回そうとするケースが多い。そのため運動やリズムを忘れてしまいがちである。

滑りはまっすぐにままでよいのである。膝を中心とした上下動を一定のリズムで滑ることが大事である。

リズムだけに集中させる。リズムがよくなれば滑りもよくなる。

説明7. リズムのテンポは人によって違います。「1,2,1,2,」という人もいるでしょうし、「1・・,2・・,1・・,2・・,」という人もいるでしょう。その結果、滑りの小さい人もいれば、大きな人もいます。自分のリズムとテンポで滑ります。
指示6.ではやってみましょう。

4.急斜面に挑戦

説明8. 急斜面では、スキーを横に向けたまま、真下にずれてスピードをコントロールして停止します。
指示7.はじめは横滑りをやってみましょう。

ごくごく短い横滑りから、長い横滑りまで、何度も練習する。腰を中心とした外傾を注意して練習する。

少し慣れたと思われたところで、小回りの練習をする。緩斜面の時と同じように、2ターン、4ターン、6ターン、10ターン以上、と少しずつ滑走距離を長くする。

説明9.慣れてきたら、横滑りの量でスピードをコントロールするのです。横滑りの量が少なければ、「シュッ、シュッ、」というシャープでかっこいい滑りになりますし、横滑りの量が多ければ「ザザー、ザザー」というゆっくりした安全な滑りになります。
指示8.各自の好みで滑ってみましょう。

滑走量さえ確保できていれば、ここまでの2時間の指導で、それなりの小回りになっている。今回の実践では、リフトに8本乗車した。