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プルークボーゲンを2時間でパラレルターンにする指導
[6.課題運動]

佐々木基
TOSSスキー指導研究会
TOSS北極星TOSS高校・専門学校ネットサークル
開設2000/5/7、更新2004/4/29

パラレルターン後半の「山まわり」を完成させる練習である。1日目午後の中心課題である。

指示5
 スキーをそろえた姿勢をパラレルスタンスといいます。パラレルスタンスで直滑降をします。片足をあげて滑らかにスキーが真横を向くまでターンをします。これの繰り返しです。直滑降、真横。直滑降、真横。の繰り返しです。前の人がターンを2つしたら次の人はスタートして下さい。先頭の人だけは先生がターンを4つしたらスタートして下さい。

 真横向きから直滑降に移るスキー操作は特別に指示しない。横向きから「えい!」と一気に立ち上がり直滑降に移る模範演技を見せる。

 模範演技を見て、真似の出来ない生徒が多いときに限って補足説明する。

補助指示1.
先生の真似をして、一気に立ち上がって直滑降に移ります。

 それでも真似が出来ずに苦労する生徒が多い場合は、次のように指示する。

補助指示2.
足をハの字に開いて、プルークボーゲンで直滑降に移ります。

 真横向きの状態からシュテムターンの要領で、外足開きだしプルークボーゲンを行い、ハの字直滑降に移る模範演技を見せ、真似をさせる。

 指示5に示した運動は高度な技術を要する運動である。簡単には習熟できない。スキー滑走量の不足している児童・生徒に対して、1回のスキー授業で滑りを完成させることは無理がある。小学生であれば、卒業までの数年間で完成させようとという意識が必要と思う。十分な滑走量の目安は、スキー授業までのリフト乗車回数が10回である。

 繰り返し、指示5の運動を行う。少しでも進歩が認められれば誉める。姿勢の改善、安定感の向上、表情、返事の変化などどんなことでも進歩と感じれば誉める。技術的な助言は最小限にして滑走回数をとにかく増やす工夫をする。スキー場の全ての斜面を使い、周辺技術を織り交ぜた練習を取り入れる。生徒を飽きさせず練習を行わせたい。このあたりの工夫については、ゲレンデの条件などを考慮し、個別に対応しなければならない。

 目立つ欠点と対処の方法

(1)後傾

指導すべき対象としないので、後傾が見られても気にしない。多少の後傾はパラレルターンの習得に一切関係ない。

(2)直滑降がない

スキーのトップが右向きから直滑降になることなく、一瞬で左向きになる。これを直接改善することは出来ない。次の(3)、(4)を練習することで、スピードに対する恐怖感を克服できたとき、自然と直滑降が出来るようになっている。

(3)スキーが真横を向かない。斜めに滑り続けてしまう。

例1.うまくできない生徒の前を滑り、誘導する。生徒の滑りがどうであっても、褒めて褒めて、褒めまくる。

例2.4人のグループを作り、グループ単位のトレーンを練習する。 「前の人の外側を滑ります。」と指示する。

例3.Jの字停止ではなく、Uの字停止の練習をする。Uの字がどこまで戻っていくか、競争する。

(4)スキーの内足をリフト出来ない。

斜面のあらゆる場所で、立ち止まる度に内足をリフトした基本姿勢を練習する。バランスの取れたこの姿勢を外傾姿勢という。

例1.「外傾姿勢、用意、始め。」といって、10秒持続させる。

例2.
生徒の谷側に立ち、生徒にストックをラケットを握るように持たせる。生徒のストックの先を教師が握る。「ストックを引っ張るからしっかり握ってバランスを取るんだよ。」と言って生徒に外傾姿勢の構えをとらせる。「じゃあ引っ張るよ。」と言ってから生徒のストックを引っ張り、バランスを取らせる。
慣れてきたら、急に引っ張ったり離したりする。
このときの腰の折れ具合、脇の曲がり具合を意識させ、出来ていれば誉める。

例3.
生徒の山側に立ち、「肩を押すからね。」と言って外傾姿勢の構えをとらせる。「じゃあ押すよ。」と言って生徒の肩を押してバランスを取らせる。
慣れてきたら、急に押したり離したりする。
このときの腰の折れ具合、脇の曲がり具合を意識させ、出来ていれば誉める。

例4.
生徒に外向傾姿勢をとらせる。生徒の谷側に立ち、谷側の肩に手のひらを近づける。「手に体を預けて下さい。」と言って、寄りかからせる。生徒が寄りかかってくるのをしっかりと支える。手の位置を少しずつずらしながら「もっと寄りかかります。」と言う。こうして、生徒の「くの字」姿勢を大きくしていく。「滑走中も、こんな感じに体重をかけるのです。」